2010年8月27日金曜日

検索各社が目指す「検索体験のスピードアップ」【後編】

前回は、「検索各社が目指す『検索体験のスピードアップ』【前編】」と題して、Google の取り組みについて紹介した。後編では、Yahoo!JAPAN および Bing の取り組みについて紹介しながら、Web 運営側がとるべき対応について記載する。

■Yahoo!JAPAN の取り組み
Yahoo!JAPAN は2009年12月に、「検索プラグイン」(米国の SearchMonkey 相当)の提供
を開始した。Google の「リッチスニペット」同様に、検索結果に詳細な情報を提示して、検索から情報取得までの時間をスピードアップできるという点で共通性があるといえる。

◆ Yahoo!検索プラグイン
Yahoo!JAPAN は、2009年12月に Yahoo!検索プラグインの提供を開始した。Yahoo!検索プラグインとは、検索ユーザーが目当ての情報を素早く見つけられ seo ブログ
るよう、検索結果のサイト説明文により詳細な情報を表示する機能である。

例えば、Yahoo!JAPAN で「渋谷 居酒屋」と検索してみよう。検索結果画面内のいくつかのサイトにおいて、料理屋店内の写真が掲載されているのが確認できるだろう。またそれらサイトの説明文をよく見ると、平均予算やレビューの評価(☆マーク)、価格帯、住所やアクセスの手段
についても記載されている。

この機能により、クリック前に遷移先のサイトにどのような情報が掲載されているかを予め知ることができ、ユーザーが目的の情報をより早く手にいれることができるようになる。

現在、Yahoo!検索プラグインの表示は、Yahoo!グルメ飲食店情報?ぐるなび、食べログなどのグルメ情報のほか、Yahoo!オークション、Yahoo! rmt
知恵袋、Wikipedia など、ユーザーにとって利益になると考えられるサイトが初期設定されている。表示を変えたい、もしくは、どんなサイトが Yahoo!検索プラグインに対応しているのか知りたい場合は、Yahoo!検索結果画面右上の「設定」をクリックすることで確認できる。

2010年2月現時点では、日本で Yahoo!検索プラグインに対応しているのは、20サイト程
度に限られるが、2010年春以降には、プラグイン開発ツールが公開され、一般にも提供されるようになる。

自社サイトを Yahoo!検索プラグインに対応させたい場合、Web サイト運営者は、microformats や RDFa などのセマンティックマークアップを用いて構造化データを作成し、それを該当ページ内に埋め込む必要がある。

※補足:Yahoo!は、Yahoo!の
サービス内でユーザーを遷移させたい(広告収入のためにページビューを増加させたい)という要望が根底にあると考えられ、Yahoo!検索プラグインに代表されるスピードアップ化により、ユーザーは欲しい情報を入手して、Yahoo!のサービス内からすぐに離脱してしまうのではないかと懸念される。しかし、検索体験の向上により、1回の検索におけるユーザーの満足度
が高まることで、1人当たりのユーザーの検索回数が増加すれば、検索体験のスピードアップ化による Yahoo!の不利益は生じにくいかもしれない。検索体験の満足度向上により、人々がより検索を行うようになれば、検索広告を表示する機会を増やすことにも繋がる可能性がある。

■Bing の取り組み
マイクロソフトの検索エンジン?Bing(ビング)は、ウェ
ブグループ機能と呼ばれる特徴的な機能を有している。

◆ウェブグループ機能
Bing は、ユーザーの検索行動や検索クエリの属性、直前直後のクエリを分析して、ジャンルごとに代表的な、かつ情報探索に役立つカテゴリが表示されるよう開発?整理?分類されている。

例えば Bing で「相武紗季」と検索すると、検索結果の左側に「ニュース」、「
ブログ」、「公式サイト」といったカテゴリが表示され、クリックすると、検索結果画面がリスティング広告枠、自然検索枠共に変化する。これは、都市名や人物名、イベントなどのキーワードにも対応しており、「京都」と検索すると「ツアー」、「宿泊」、「ショッピング」などのカテゴリが表示される(2010年1月27日時点)。

興味深いのが、同じジャン
ルであってもクエリの性質に応じてグルーピング項目も変化する点だ。同じ「山」に属するキーワードでも、「富士山」と「阿蘇山」、同じ「観光スポット」に属するキーワードでも、「東京タワー」と「東京ディズニーランド」など、検索キーワードの検索意図ごとに適した項目を表示するように設定されている。

Google や Yahoo!JAPAN の関連検索ワードは
、クエリベースまたはクロールベースで、頻繁に組み合わせて出現される言葉を表示する方法を採用しているが、Bing は、ユーザーの検索行動や検索クエリの属性、直前直後のクエリを分析し、ジャンルごとに代表的な、かつ情報探索に役立つカテゴリが表示されるように開発?整理?分類されている。

検索キーワードごとに、ユーザーが求めているであろう項
目別に分類を行って表示することで、必要な情報元に迅速にアクセスできるよう工夫が施されている。

また、Bing 米国版では、ウェブグループ機能の高機能化が進んでおり、検索ボリュームが多いジャンルの検索(自動車、旅行、製品など)に関して、グルーピングがより適切に行われるよう設定されている。

例えば、Bing 米国版で「Wii」と検索す
ると、修理や販売店、周辺機器(アクセサリ)などのカテゴリが表示される。旅行関連の検索であれば観光地や天気など、旅行関連の検索時に同時に求めるであろうカテゴリが表示されるよう設定されている。ユーザーが必要とする情報を、1回の検索行動で提供しようと試みているのである。

■最後に
検索各社は、ユーザーの利便性を高めることを目的
として、今後もこうした新機能を順次リリースしてくると考えられる。これに伴い Web 運営側では対応が求められることになるが、自社サイトがユーザーの視点を考慮して運営されているならば、検索各社の新しい動きに飲まれて変に焦る必要はない。

これは、検索各社が目指す所の根本は、ユーザーの検索体験の向上であり、その主軸となるのが「検索体験
のスピードアップ」だからである。

今後、Web 運営側として新機能をいち早く導入して利益の向上を目指すのであれば、検索各社がリリースする情報を迅速かつ正しくキャッチアップする必要があるだろう。また、リソースがあるのならば、ユーザーのさらなる検索体験の向上を目指して、構造化データなどの対応を行うことが推奨される。

しかし、
第一に Web 運営側に必要なのは、自社のビジネスモデルやサイトの特性を踏まえた上で、新機能の対応にかかるコストと、それに見合った利益が期待できるのかを考えることである。

Web 運営側で求められるのは、焦りではなく、「ユーザーに、適切に、分かりやすい情報を、提供しているか」という基本であり。今後新しい機能がリリースされた際は、自サ
イトで導入する意義を踏まえた上で、対応を考えていただければ幸いである。

(執筆:株式会社アイレップ SEO グループ 本多志帆)

記事提供:アイレップ

【関連キーワード】
検索各社が目指す『検索体験のスピードアップ』【前編】
【関連記事】
あなたのサイトの体調管理は万全ですか?
オプトとホットリンク、「在
庫連動型 SEM 自動入稿サービス」の実験を開始
アイレップ、ユーザー行動に基づく LPO コンサルティングサービス「BT LPO」を提供開始
モバイルリスティング広告媒体の有効活用(3)?目的に合わせて広告媒体を選定する?

引用元:エミルクロニクル(Econline) 総合サイト